今週のキャラクタM 11/01/26
冬も真っ盛りになり、
ひと仕事を終えた後に、安らぎと暖かさが欲しくなった・・・
そんな気持ちを絵にしてみました。見てください。
「ごちそうさま」
(前描 16小筆)
この土地には珍しく大雪の降った日。
それでも今日は平日。仕事はいつも通り。
違うのは、事務室の外から見える雪がいつまでもちらついたことくらい。
白く、霞んだままだった空もいつの間にか暗くなり、仕事も終わり。
通る道はどこもぬかるみ、脇にはどかした雪が灰色になってた。
やっぱり、いつもとは違う気分がしたので、夕飯の買出しはやめて
外で食べてみようと思った。
いつもとは違うものを、、、と思いふけつつ目に入ってきたのは、
屋台のラーメン屋。雪の積もる日でも店やってるんだ。
いつも見つけても通り過ぎてた屋台だけど、
いつもとは違うんだから、とのれんをくぐってみた。
(間描 32小筆)
主人は寡黙な初老の男性。
仕込んだスープの鍋から出る湯気。刻んだネギの香り。
今まで吹いてた風もやみ、湯気とともに寒さが和らいだ気がする。
出来上がったのは、誰でも想像できるであろうシンプルな醤油のラーメン。
スープを一口すする。存外に味が濃かった。
ここで主人が口を開く。
ここに入ってくる客はみな仕事帰りで疲れてるから、味が濃い方が好まれてるそうだ。
私も疲れている。そして腹が減っている。
麺を口に入れれば入れるほど食欲が増している気がする。
ラジオでは交通情報。積雪で速度制限。北へ向かう夜行列車は運休。
白熱灯がときどき暗くなったり、不安定だけど、暖かさがある。
スープは残したけど、満腹になった。
主人には日常だろうけど、自分には稀だったこの空間、
腹を満たせたこの糧に、謝意をこめて唱える。
ごちそうさま。
(後描 8小筆)
ご閲覧、ありがとうございました。
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